廃棄物発電がタイのクリーンエネルギー転換を後押し

タイは埋立廃棄物の削減、電力の創出、汚染の抑制、そしてクリーンエネルギーへの転換を後押しするため、廃棄物発電プロジェクトの活用を拡大している。

タイでは、埋立廃棄物の削減、発電、汚染の抑制、そして国全体のクリーンエネルギー転換を支える取り組みの一環として、廃棄物発電プロジェクトの導入が進んでいる。

廃棄物発電は、都市部で発生する一般廃棄物を国内エネルギー資源へと転換する、同国の主要な取り組みの一つとして注目を集めている。この仕組みでは固形廃棄物を電力へと変換することができ、都市部にすでに存在する資源を有効活用しながら、地域における発電力の強化にもつながる。

こうした手法は、エネルギー安全保障を支えるとともに、増え続ける都市廃棄物の負担を軽減する代替エネルギー源としても位置づけられている。

埋立地に運ばれる廃棄物の量を減らすことで、廃棄物発電プロジェクトは土地利用や浸出水、悪臭をはじめ、周辺地域への様々な影響を抑えることができる。これにより住民の生活の質が向上し、よりレジリエントで持続可能な地域社会の発展にも寄与すると期待されている。

バンコクで廃棄物発電施設が拡大

タイでは、環境問題への対応とエネルギー安全保障の強化を両立させることを目的とした廃棄物発電プロジェクトが、すでにいくつも進められている。

バンコクでは、バンコク都庁がノンケム(Nong Khaem)およびオンヌット(On Nut)の両廃棄物処理センターにおいて、廃棄物を焼却して電力を生み出すプロジェクトを進めている。各プロジェクトは1日あたり最低1,000トンの廃棄物を処理できる設計となっている。

これらのプロジェクトは、廃棄物をエネルギーへと転換することで埋立処分量を削減するという、バンコク都庁の計画の一環に位置づけられている。プロジェクトで収集された廃棄物は、密閉された受入ピットに3日から5日間保管され、水分量を約35%削減する。

その後、クレーンでストーカー式焼却炉へと運ばれ、炉内は摂氏約850度から1,100度に保たれる。この熱を利用して水を沸騰させ、高圧の蒸気を発生させることでタービンと発電機を駆動し、電力を生み出す仕組みだ。

これらのプロジェクトは、埋立処分の削減と、一般廃棄物処理の代替手段としての廃棄物発電技術の導入を進めるバンコク都の戦略を支えるものとなっている。

チェンライ、農業廃棄物を地域資源へ

都市廃棄物にとどまらず、農業残渣についても技術革新を通じて有用な資源へと転換する取り組みが進んでいる。

チェンライでは、農業廃棄物を価値ある資材へと変換すると同時に、大気汚染とそれに伴う健康影響の低減にも役立つ、地域エネルギー分野の新たな取り組み「BioCycle Kiln(バイオサイクル窯)」が導入されている。

タイ国家研究評議会(NRCT)によると、このバイオサイクル窯はNRCTの支援のもと、キングモンクット工科大学トンブリー校が、メーファールアン大学と協力して開発したものである。

この技術革新は、稲わらをはじめとするバイオマスなど、農業残渣の管理に研究に基づいた知見を応用したものだ。

これらの資材は、野焼きにされる代わりに、土壌改良に役立つバイオ炭へと転換されたり、建物のエネルギー効率を高める建築資材に加工されたり、あるいは発電用燃料として利用されたりする。

このプロジェクトは、農家の生産コスト削減に貢献するとともに、大気汚染の原因となるホットスポットの一因である野焼きの削減にも役立っている。また、地域住民の汚染に伴う健康リスクの低減にもつながっている

新たな電力開発計画(PDP)がクリーンエネルギー転換を加

エネルギー政策計画局は、新たな電力開発計画(Power Development Plan、PDP)の草案を策定中であり、これは世界経済の変化や急速に進展するエネルギー技術に対応してタイのエネルギーシステムを刷新するための重要な基盤となることが見込まれている。

「PDP 2026」として更新される新たな草案では、計画期間がこれまでの20年間から25年間に延長され、2026年から2050年までを対象とする。この変更は、2065年から2050年へと前倒しされた政府のネットゼロ排出目標に、電力部門を整合させることを狙いとしている。

この方針転換に伴い、エネルギー省は発電における再生可能エネルギーの比率をこれまで以上のペースで高めることが求められている。2037年までに、クリーンエネルギーはタイの電源構成の少なくとも51%を占める見通しであり、最大で60%に達する可能性もある。

この比率拡大は、産業界のグリーン電力需要に対応するとともに、石炭火力発電をはじめとする化石燃料由来の電力供給の一部を代替することを目的としている。

エネルギー安全保障を損なうことなく環境目標を達成するため、PDPの草案にはいくつかの新たなエネルギー技術が盛り込まれている。その一つが小型モジュール炉(Small Modular Reactor、SMR)であり、ゼロカーボン電源として600メガワット超の導入が見込まれている。

草案にはまた、水素混焼も盛り込まれており、2030年から天然ガスに水素を5%の割合で混合することで、主要発電所における化石燃料の使用削減を図る。

もう一つの重要技術が、二酸化炭素回収・貯留(CCS)である。PTT探査生産公社(PTTEP)はアーティット(Arthit)ガス田でCCSの実証試験を進めており、東部経済回廊(EEC)における「東部タイCCSハブ」の開発支援を目指している。

政府はこのほか、屋根置き太陽光発電や地域発電所、そして公正な価格でのクリーンエネルギーへのアクセス拡大にも注力しており、電力の消費者であると同時に生産者でもある「プロシューマー」を増やすことで、長期的な持続可能性の実現を後押ししようとしている。


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